書店が6000店も減少している! 懐かしの「ロードサイド書店」をつぶしたのはAmazonか? 

書店が6000店も減少している! 懐かしの「ロードサイド書店」をつぶしたのはAmazonか? の画像1

 2000年には2万店以上あった書店が16年には1万4000店まで減っている――近所の町の書店の閉店などを目にし「書店が前よりも減っている感覚」は多くの人にあるだろう。しかし、こうして数で見ると驚くものがある。そしてこれはいわゆる町の本屋さんだけでなく、紀伊國屋書店新宿南店など、都心の大型書店も含まれているのだ。その要因の一つに当然あるのはAmazonだろう。出版販促コンサルタントの山本豊氏に、移りゆく書店の姿について話を聞いた。

■2000年時点では、Amazonはまったく脅威だと思われていなかった。

――00年には2万店以上あった書店が16年には1万4000店まで減っている、というのは衝撃ですね。

山本豊氏(以下、山本) そうですね、後継者不足もありますが、Amazonの影響も大きいですね。

――Amazonは00年に日本でのサービスを開始し、今や書籍に限らずEC市場を牽引する存在になりましたが、サービス開始時点の段階で、Amazonは書店にどう認識されていたのでしょうか?

山本 Amazonは赤字覚悟で本の送料無料を続けていました。当初は出版社も書店も、このやり方ではもたないと見ていましたね。また、Amazonは外資ですから、出版社にしろ書店にしろ「敵対」とまではいかずとも、「自分たちの土壌に土足で……」のような雰囲気はありましたね。

 ただ、その後Amazonが拡大を続けたのはご存知の通りです。書店にとってAmazonはライバルですが、出版社にとってAmazonは販路を広げてくれる存在でもあります。ですが、出版社にしてみればそれまでずっと本を販売してくれた書店への恩義も当然あります。

 なので、出版社は表立ってAmazonと何かをすることはせず「書店さんの味方ですよ」というスタンスを取っていました。ですが、そのスタンスも最近そうとも言えなくなってきていますね。

――書店さんを大事にしていますよ、という出版社の建前もいよいよ崩れつつあるんですね。

■「Amazonランキング1位」は操作されている?

――山本さんから見て、Amazonのいい点はどこにあると思いますか?

山本 利用者にしてみればいいサービスですよね。品切れはなく、届くのも早いですし。マーケットプレイスでの古本の販売も充実していますよね。

――マーケットプレイスで、1円で販売されている本はどうやって利益を確保しているのでしょうか。

山本 あちらは送料が一律で257円ですよね。安い配送サービスを利用し、その差額を得ているのでしょう。ただ、当然Amazonも手数料を取るでしょうから、1円本の利益は相当薄いでしょうね。

――Amazonは本別に売り上げのランキングがついていますが、1位を取ると「ベストセラー1位」のタグが付きます。そのタグやランキング上位の実績欲しさに著者が本を買い占め、ランキングを操作することもあるとも聞きますが……。

山本 一人の方が100冊買っても1カウントにしかならないようですね。「操作」するなら相当大掛かりにやらないといけないでしょう。

――この「ベストセラー1位」は効力のあるものなのでしょうか?

山本 かつては効力があったと思いますが、今はさほど、という感じですね。内情をわかっている消費者も増えてきましたから。

■90年代の日本の郊外の風景「ロードサイド書店」は絶滅する?

――書店は上場企業もありますが、最新年度の決算を見ると文教堂が赤字、三洋堂も前年よりも営業利益を落としています。

山本 三洋堂さんは愛知に本社のある書店さんで、いわゆる「ロードサイド書店」の走りですね。

――東京など車なしでも生活できる都市圏の人にはピンとこないかもしれませんが、私は地方の郊外出身なので「ロードサイド書店」にはグッとくるものがあります。90年代くらいから、地方の郊外にはロードサイドに大型の書店が増えましたね。ネットも普及していなかった時代に、地方でも「文化」を感じる空間でした。

山本 ロードサイド書店は減ってきてしまいましたね。文教堂さんもかつては神奈川近郊でロードサイド店を多く展開していましたが、今は「アニメガ」という店舗形態に力を入れています。アニメガではアニメや関連グッズに注力しており、場所もロードサイドではなく、駅チカだったり、駅ビルのテナントに入っていたりと、路線転換しています。

――出版不況でも、信者を抱える「萌え」は強いのですね。ロードサイド書店を駆逐したのはAmazonなのでしょうか?

山本 Amazonも当然ありますが、昨今増えたワンストップモールの影響もあるかと思います。それこそイオンのような、一店舗だけですべての買い物が完結するような超大型ショッピングモールの存在ですね。そういった店舗には大型書店も入っていますので。

――書店という切り口だけで見ても、この20年で随分流通の姿は変わっているのですね。

* * *

 なお、Amazonは「法人税を日本に払っていない疑惑」がある。Amazonの16年における日本事業の売上高は1兆1660億(1ドル108円で算出)になる。ちなみに日本経済新聞社のサイトのランキングで調べると、ユニクロのファストリテーリングの16年の売上高は1兆7778億円になり、これは全上場企業中73位になる。

 ユニクロを小さくしたくらいの超大企業が日本に法人税を納めていないのは問題だ。しかしAmazonは、そもそも米国にも売上規模の割には法人税をさほど払っていない。Amazonの営業利益率は、16年は3%、15年は2%、14年は0.2%だ。ちなみに楽天の営業利益率は16年は9.9%、15年は13.2%、14年は17.2%になる。Amazonの投資家向け資料を見ると、「短期的な利益よりも中長期的なマーケットでの主導権をつかむための投資を続ける」といった趣旨の記載があり、利益は、徹底的にさらなる拡大のための投資に回す方針なのだ。

 利用者にしてみればAmazonは確かに便利なサービスだが、宅配業者の再配達問題などAmazonと利用者「以外」の関係者の疲弊は大きいし、街の書店は6000店が消えて風景も変わった。最後はAmazon以外、草一本も生えてないのかもしれない。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

■山本豊氏 出版販促サポートサイト
出版SPプラス:http://booksales.jp


Source: 日刊サイゾー

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です