TBSラジオ「プロ野球中継から撤退」にファンが悲鳴! ラジオはなぜ“巨人戦至上主義”から抜け出せないのか?

TBSラジオ「プロ野球中継から撤退」にファンが悲鳴! ラジオはなぜ巨人戦至上主義から抜け出せないのか?の画像1
イメージ画像(Thinkstockより)

 リーグ優勝は決まっても、CS進出争いがまだまだ佳境のプロ野球。一方、Bクラスが確定した球団のファンの気持ちは早くも来季へ。試合単位、シーズン単位で落胆することはあっても、先へ先へと楽しみを循環できるのも野球ファンの醍醐味のひとつだ。そんな中、その前向きな気持ちに水を差しかねないニュースが飛び込んできた。

<TBSラジオが来季から野球中継撤退へ>

「週刊ポスト」(小学館/9月29日号)が報じたもので、(1)野球中継の聴取率低下で広告収入が激減。(2)各球場のラジオ用ブースの使用契約料もバカにならず、採算が厳しい……という状況のため、1952年から60年以上続いてきたプロ野球中継『エキサイトベースボール』を今季限りで撤退する、というニュースだ。

 27日には、さらに続報が流れた。TBSラジオの入江清彦社長が定例記者会見で「具体的に発表できる結論は出ていないが、年内をめどに結論を出す」「(撤退の)検討はずっと繰り返している」と答えたという。

 プロ野球ファン、そしてラジオファンとしてはただただ悲しく、残念な気持ちになるニュースだ。もちろん、広告収入が激減、採算が厳しいという側面はあるのだろう。カールの販売中止が決まってから、思い出したように大人買いする消費者のように「ラジオの野球中継っていいよね」と言いつつ耳を傾ける回数を減らしていたのだとしたら、その責任の一端はリスナーや野球ファンにもあるのかもしれない。

 一方で、どうしても疑問と不満も拭えない。ポストの記事では、入江社長の〈ラジオで野球を楽しむ習慣が遠のいている〉というコメントも紹介しているが、遠のかせないための施策は十分にできていたのだろうか?

 野球ファンの間でよく議論になるのが、ラジオ中継の巨人戦偏向主義だ。これは、巨人寄りの中継をしているということではなく、ラジオのどの局も巨人戦しか中継してくれない、ということ。「パ・リーグきこうぜ!」でおなじみの文化放送『ライオンズナイター』もあるのだが、西武戦が組まれていない日のラテ欄を見ると、NHK、TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送、ラジオ日本のAM5局がすべて「巨人×◯◯」と横並びで、その編成の貧困さに悲しくなることが年に数回はある。

 巨人・大鵬・卵焼きの時代ならいざ知らず、なぜラジオは(そしてこれは、民放テレビもそうなのだが)いまだに巨人戦至上主義から脱却できないのだろうか?

 地上波テレビでの野球中継が激減した2000年以降、野球人気の低下が叫ばれて久しい。その半面、ここ数年はどの球場も観客動員数で過去最高を更新し続けている。確かに、70年代・80年代のような圧倒的な人気はなくなってしまったのかもしれないが、ファンの多様化・裾野の拡大という意味では、以前よりもいい時代を迎えつつあるのだ。

 さらに、16年から導入された、radikoの「エリアフリー」「タイムフリー」は、実は野球中継を楽しむ上でももってこい。ひいきの球団が勝った試合を、最初はCS中継で見て、その後にradikoのタイムフリーで聴き直すことだってできるし、球団地元のローカル局ではどんな応援実況をしていたのか聴き比べることだってできてしまう。むしろ今、ラジオで野球中継を扱うことは、追い風が吹いているようにも感じる。

 もったいないと思うのは、野球ファンの多様性をどこよりも紹介しているのもまた、TBSラジオだということ。阪神が負けた翌朝の放送はどことなくテンションが低い『森本毅郎スタンバイ!』。たびたび偏狭なベイスターズ企画をぶち込む『荒川強啓デイ・キャッチ!』。各球団ファンの論客やコラムニストをゲストに招くプロ野球企画が好評の『荻上チキ・Session-22』。そして、『伊集院光とらじおと』『深夜の馬鹿力』でラジオ界を牽引する伊集院光は日本ハムファンの代表格で、トークの枕として日本ハムネタ、プロ野球ネタから番組が始まることは少なくない。

 朝から深夜まで、TBSラジオでは巨人以外の野球ネタがめじろ押しなのだ。それなのに、野球中継『エキサイトベースボール』では巨人戦ばかりというちぐはぐさ。きっと何かできることはあるはずなのだ。

 折しも先週、文化系野球ファンに人気の不定期刊行雑誌「屋上野球」(編集室 屋上)の最新号が発売。その特集企画が「野球は、ラジオで」だった。全国ラジオ局へのアンケート調査ページで、TBSラジオが「野球中継が一番面白いのは実は『ラジオ』なんです」と答えていているのがなんだか切ない。

 恐らく、TBSラジオの野球中継撤退は既定路線なのだろう。それでもいちるの望みをかけ、「屋上野球」の冒頭コラムを引用して終わりたい。

《ラジオで野球中継を聴くということに、ノスタルジーを感じる人もいるかもしれない。懐かしいな。昔よく聴いたなあ。いやいや、今なんです。今、ラジオで聴く野球が、どんどん面白くなっているんです。(中略)ラジオで野球を聴く楽しみを知ったら、あなたの野球はきっともっと広がっていく》
(文=オグマナオト)


Source: 日刊サイゾー

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です