だらしなさが、実に人間臭くていい――【斉藤由貴】スローな由貴でいてくれ

『斉藤由貴』

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『ETERNITY』(ヤマハミュージックコミュニケーションズ)

「週刊文春」に50代医師との不倫疑惑が報じられる。一度は否定したが、「FLASH」にキス写真や、自宅とおぼしき場所で医師がパンツを被っている写真を掲載され、最終的には認めた。パンツが彼女のものなのか、娘のものなのかは明らかにされていない。


 わ~た~し~♪愚かな~♪女~の~子で~すか~♪

 斉藤由貴の代表作『スケバン刑事』(フジテレビ系)のエンディング曲にして、セカンドシングル「白い炎」の一節である。

 当時小学3年生だった私は、まさか32年の時を経て、この歌詞が本人の生きざまとシンクロするとはつゆ知らず、昼休みの教室で大熱唱していたものだ。「お前は愚かな男の子だよ」という、担任教師からのツッコミにもめげずに。

 まあ、本来であれば1991年に尾崎豊と、93年には川﨑麻世との不倫報道が出ているわけで、とっくにこの歌詞とのシンクロに気づいていてもよさそうなものだが、当時私は、友達のいない高校生活の真っただ中であり、人さまの不倫よりも己の教室での振る舞いに神経を尖らせていたため、世間の動向はまったく追えていなかったのである。

 それが、今回の50代医師との3度目の不倫報道によって、過去の所業までもが改めて報じられてしまい、私のように知らずに過ごしていた人間にまで知られるところとなってしまった。つくづく、下世話な世の中であるなあとゲンナリすると同時に、不倫相手のランクが下がっていっているように思うのは気のせいだろうか。

 ともあれ、結婚し、母になり、仕事をセーブしていた時期があったものの、ここ数年の活躍ぶりに「50歳で再ブレイク」などと評されていたタイミングでの不倫報道は、なかなかの痛手だ。だがその半面、中年男性層のファンがグッと増えたことも事実である。特に文春の報道を受けて開かれた1回目の記者会見は、“神回”との呼び声が高い。「えーと」「あの~」を繰り返すユルいしゃべり方に萌え、服装や髪がボサボサにもかかわらず、その憔悴しきった表情からは色気すら感じられた。なんなら、1回目の記者会見を見て好きになったという人もいたほどだ。

 まあ、いつもの流れなら、私もこのタイミングで……と言いたいところだが、なぜかこの時はノレなかった。多分、『スケバン刑事』でいうと、初代より三代目の浅香唯派だったため、自制心が働いたのかもしれない。

 では、私がどのタイミングで惹かれたかといえば、「FLASH」の続報2連発を受け、公式に不倫を認めてからである。さすがに不倫相手とのキス写真および“パンツ被り”写真まで掲載されてしまっては、ごまかしようがない。お相手のパンツの被り方については、彼のように頭から被る派と『変態仮面』のように顔から被る派の2つの流派があり「不倫相手のパンツ、上から被るか? 横から被るか?」といった岩井俊二的な論争が巻き起こっているので、そちらに譲るとして、というか巻き起こってもいないので無視するとして、大事なのは「不倫を認めた」というところである。

 というのも、斉藤由貴が夫婦共々入信しているモルモン教では、基本的に離婚が禁止されているという。夫婦間が冷めきり、「バレたら離婚しちゃえばいいや」と思ってする不倫とは、リスクの大きさが違いすぎる。特に今回、内容がヘビーだ。家庭内の空気は相当重苦しいものだろう。でも、逃げられない。そんなリスクが頭の片隅にありながら、それでも「ヤッてしまった」という、そのだらしなさが、実に人間臭くていいではないか。しょせん、人は欲望に翻弄されて苦しむ生き物。アダムとイブ、スケバンと医師なのである。

 加えて、不倫関係が始まった時期と彼女の再ブレイクのタイミングが微妙にシンクロしており、コメントからもなんとなくそのへんのニュアンスが感じられた。つくづく、女優は、いや女性は恋をして輝くのだなあと不謹慎ながら感じてしまった。不謹慎ついでに言えば、死に物狂いで頑張ろうとするとき、人によるのかもしれないが、心の支えになるのは宗教よりも人のぬくもりなんじゃないだろうかということだ。不倫云々は置いといて。その点を、清水富美加はどう感じているのだろう。

 なんにしろ、しばらく彼女への逆風は続くだろう。だが、これだけ人間の“業”を背負った女優はほかにいない。むしろ、この騒動を経てどう成長するのか見たくないだろうか。それが、4度目の不倫報道が出る時だとしても。

 そんな彼女へのエールも込めて、最後はこの曲でお別れです。アニメ『めぞん一刻』の主題歌。斉藤由貴で「悲しみよこんにちは」。

 平気~♪涙が乾いた跡には~♪夢への扉が~あるの♪ 悩んでちゃ~♪行けない~♪

西国分寺哀(にしこくぶんじ・あい)
今回の原稿は、JASRACに申請が必要なのかどうかがわからず、ビクビクしている40代会社員。パンツは部屋の照明で透かす派。


Source: 日刊サイゾー

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