ラスボスがいきなり登場!? 想像を絶する、甲府『ぼんち』のチキンカツカレー

飽食から美食の時代に変わったニッポングルメ。ラーメンだってカレーだってスイーツだって、おいしくて当然の時代! でも、目でも楽しめたらもっとおいしくないか!? そんな変なグルメ、おもしろグルメを探訪する! B級グルメなんて恐れ多い。珍級グルメ、いただきま~す!!

 新年、明けましておめでとうございます。

 今年もめでたく年が明けました。読者の皆様におかれましては、今年も腹いっぱい、うまオモシロい珍級グルメが食べられる一年であることをお祈りいたします。

 筆者の青春時代、お正月になるとテレビからは、「おせちもいいけどカレーもね!」というCMが流れ、「なんかカレーが食べたくなってきた」と、簡単に暗示にかけられてしまったものだった。確か、初代はキャンディーズがやっていたような……。

 しかし今回、ある意味、トラウマに近い感情を生んでしまうほど、大きなインパクトを与えるカレーを体験してしまったのだ!!

 甲府市内の狭い路地をナビを頼りにクルマで進んで行くと、突然、燦然と輝く古民家風の「めし屋」が現れた。まだ夕方の5時過ぎだというのに、狭い駐車場は満車に近い。最後の1台分のスペースにクルマを駐め、店に入ると、駐車場とは逆に店内は広々していた。

 カウンター席とテーブル席があり、筆者は丸太椅子が並ぶカウンター席に腰掛けた。メニューを開くと、そこには美味しそうな文字が並んでいる。生唾を飲み込み、その中から筆者が選んだのは、“チキンカツカレー”だった。豚ロースほど重くなく、それでいて肉感が楽しめ、さらにカレーライスも一度に味わえる、至極の逸品と言っていい日本固有のグルメであろう。

 メニューを見ながら、チラッと隣の男性客が食べてる皿を覗くと、どうやら同じものを食べている様子。すでに残り少なくなってはいるが、都会風の細身の男性客は、カレーが辛いのか、ひと口ひと口、ゆっくりとスプーンを口に運んでいるのだった。

 おばあちゃん店員さんにチキンカツカレーを注文してから店内を見回すと、カウンターの中には、たくさんのサイン色紙が飾られていることに気づいた。そして目の前には、大きく「チキンカツカレー」と書かれた白い紙が貼られている。ということは、店の名物かお勧めメニューに違いない。さすが、チキンカツカレーである。

 さて、どんな名物料理が運ばれて来るのかと楽しみに待っていると、やがて目の前にUFOのように着皿したチキンカツカレーは、想像を絶する風貌を呈していた!!

 想像してほしい。筆者の手は、男性としては大きくも小さくもないミドルサイズ。その掌の大きさから、このチキンカツカレーの量を! 軽く3人前くらいはありそうだ。

 しかも、皿に乗っているのは、カレーと超大盛りのライスだけでなく、これまた特大サイズの鶏もも肉のカツとキャベツの千切り、揚げナス、トマト2切れ、レタスにスイカと、まるでオードブルとメインディッシュ、それにデザートまでが一緒くたにワンプレートで登場したのだ!

「料理とは心とお腹を幸せにする物語である」

 という類の言葉を聞いたことがある。序章から始まって物語の軸を示し、徐々に盛り上げてからまとめへと展開していく。

 しかし、このチキンカツカレーは、どう見ても最初にオチがついてしまっている、いわゆる“出オチ”というヤツだ。

 もちろん、注文して出された以上、見て見ぬふりはできない。美味しいストーリーを満喫しようと、スプーンを手に取ったとき、なぜかもうひとつスプーンが乗っているのに気がついた。

「なんだ、やっぱり普通は2人で食べるメニューなんじゃん」

 と、ふたつめのスプーンを手に取ると、それはスプーンではなくフォーク。なるほど、大きなチキンカツは、スプーンでは食べにくいのでフォークが付き添いというわけか……。

 まずは前菜のキャベツの千切りとトマトから物語はスタートした。そこから揚げナスへと続き、メインのチキンカツとカレーライスに取り掛かる。

 ざっくりしっとりとした食感のチキンカツは、もも肉なので適度な脂もあり、プリプリ感とカレーソースで非常においしく、食べ応えもある。

 しかし、そのチキンカツをほぼ食べ終えたところで、すでに腹八分目。カレーとライスは丸々残っているのだ。これをすべて食べるのかと思うと、思わずため息が出てしまった。

 カレーライスをスプーンにすくい、ひと口ひと口食べている時、ハッと気がついた。さっき、隣で食べていた男性は、カレーが辛くてゆっくりだったのではなく、お腹いっぱいでゆっくりしか食べられなかったのだと……。

 胃袋も拡張しきり、半ば諦めかけたその時、後ろのテーブル席から「ワーッ!!」という、歓声とも驚愕とも取れる声が上がった。振り返ると、初老の男女4人の席に運ばれて来たのは、ラーメン丼から、具がすでに溢れてこぼれ落ちている大盛りの中華丼だった。

「スゴーイ!!」

 喜ぶ女性客、困惑する男性客。その表情はまんま、「他人事」と「自己責任」の現れだった。

 自己責任においては、筆者もまるきり同じ状況である。4分の1ほどカレーとライスを残した状態で、すでに腹15分目程。スプーンを持つ手がピクリともしない。己の限界を知った瞬間だった。

 残してしまったことをご主人に謝って店を出たが、そのあとは苦しくて何をする気にもなれなかった。腹ごなしに甲府の歓楽街・裏春日をブラついても、バーで甲府名産のワインを飲む気にもなれずの寂しい夜となってしまうのだった。

 教訓、「おせちもいいけどカレーもね」に惑わされず、「カレーもいいけど大盛りはね……」飲み過ぎ、食べ過ぎに気をつける一年にすべし、というところだろう。

 チキンカツカレー、うま苦しかったです……。

甲府 ぼんち「チキンカツカレー」1050円

SNS映え  ☆☆☆!!
味     ☆☆☆
満足度   ☆☆☆

(写真・文=よしよし)

 

 

 

 

 

 


Source: 日刊サイゾー

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