吉田羊が絶叫! 鈴木福も慄然! “生きる放送事故”平野レミ先生のNHK『早わざレシピ』が今回もスゴかった!

 8日の朝、祝日の朝を破壊するかのような、けたたましい料理番組『ぽかぽか家族に福きたる!~平野レミの早わざレシピ~』(NHK総合)が放送された。ご存知「生きる放送事故」こと平野レミ先生の活躍を堪能できる、みなさんお待ちかねのプログラムだ。

 2015年の年末に、シリーズの第1弾となる『おせち家族に福きたる!~平野レミの早わざレシピ~』が放送されて以来、ほぼ年2ペースで放送されてきた「早わざ」シリーズも今回で早5回を迎え、季節の到来を告げる人気シリーズとなっている。

 奇想天外なレシピを堪能できるだけでなく、限られた時間内に何品作れるかというタイムトライアル的な縛りや、無駄に多数配置された登場人物が、それぞれガヤったり驚いたりすることで生じる喧騒が、そもそもハイなレミ先生をさらに焚きつけ、謎のトランス状態を味わえる放送。翌日からの本格的な仕事始めを控え、お正月の時が止まったような生ぬるい番組を見続けてきた我々の脳に、ダイレクトに作用する気つけ薬のような五感覚醒番組である。

 一応、中山秀征を父親とする、料理に困っている「グータラ家族」のお茶の間に、出張料理人的にレミ先生が訪れてきてアイデア料理を多数披露してくれるというコント仕立ての設定があるにはあるのだが、中山や吉田羊(母親)、鈴木福(息子)らの家族コント部分は申し訳程度で、開始1分ですぐさまキッチンセットに移動。そこでは、もはや中山を家父長とする一家という設定はすっ飛ばされ、ただ暴れまわるレミ先生にかき回され、周囲は必死にフォローしまくるただの芸能人と化す。ちなみに、番組冒頭から巻き(急ぐ指令)がかかっているらしい。

 今回も69分で13品を作るという、ケツに火をつけられた状態のレミ先生。さてどんな料理が飛び出したのか見ていきたい。

 

■やりたい放題のクッキング・ハイ状態

 ぶ厚いボールの底でニンニクを叩き潰すという、レミ先生おなじみの荒技から料理スタート。「ガン! ガン!」という音に「えーーーちょっちょっちょっちょ」と怯える初登場の吉田羊。他のメンバーは動じない。いつもそうだから。

 まな板の上のニンニクが一瞬で粉砕される。1かけとかではない。コブシ大のを丸ごと1個だ。そして、まったく沸騰していない鍋にニンニクと豚肉が投入される。吉田羊の目が、たまに泳ぐ。慣れていないから。どうやら「七臭(ななくさ)がゆ」というレシピらしい。

 同時に「紅白トリ南ばん」に取り掛かる。麺の代わりに大根と人参の細切りを使うヘルシー料理。フライパンに鶏肉を投入するのだが、肉の乗った平皿をものすごいスピードで真っ逆さまに叩きつけるため、皿のヘリがフライパンの底に激しくぶつかり「ガン!」という金属音が炸裂。思わず「おええええーーー?????」とおののく吉田羊。2人の背後から「決して怒ってるわけじゃないいです」と笑顔の中山。おそらく仕事始めだろうに、なぜこの仕事を選んだのか、吉田羊。

 この最中も、ピーラーで根菜を剥く福くんが助手役の佐藤俊吉アナウンサーに指示を仰いでいたり、常に会話が2カ所以上で行われているため、ずっと、ずーっと、ガチャガチャしている。先生は、ずーっとしゃべり続けている。

「沈まないタラコ鍋」に取り掛かる。鍋にはっただし汁に、それぞれ調味料を足していくのだが、小皿にうっすら張り付いて残っている調味料が気になるのか、塩や醤油を入れたあとの小皿をだし汁の中で当たり前のように2、3度ゆすぐレミ先生。

 ネット上は、例によって盛り上がる。レミ先生は「料理学校にも行ってないし、修行もしていないから我流だ」と以前から発言しているが、こういう人前では見せなくていいような自宅用の、個人用の技を平気で見せてしまう脇の甘さが魅力だ。拒否反応を示す人もいるが、この「実はやってるけど人前ではやらなくてもいいこと」に共感してる人も多いはずだ。

 後半パートでは、材料を投入しつつ、その小皿で炒めるというバリエーションも見せてくれる。

 ちなみに「沈まない」とはカタクリでとろみをつけるので汁の中に入れたタラコ粒が沈殿しないというアイデア料理だ。

「ふっくら胸にネギダレ」という鶏胸肉料理にレミ先生が夢中になっている際、ほったらかしにされた「タラコ鍋」が吹きこぼれそうになるが、あわてる吉田羊に佐藤アナがすかさず「これはねセルフでやるシステムになってますから」とフォロー、火を調整する。学食のような料理番組。この騒ぎの最中、隣にいるレミ先生は一瞥もくれず「ネギダレかけますよー」と、胸肉の盛り付けについて独り言を言っている。

 もう、今何を作っているのか? どの手順なのか? が途中からどうでもよくなってくるシステム。我々はただ画面の喧騒を見つめて、思考を停止させればいい。

「七臭がゆ」の完成間際、おそらくフロアディレクターがカンペ指示を間違ったらしく「それじゃないでしょ!」と鬼の首を取ったように喜ぶレミ先生。自分はカンペ無視して段取り間違うのが当たり前なのに、嬉々として、菜箸でディレクターを差してあげつらう。無邪気だ。

 後半パートでは、指をぐるぐる回す「巻きで(急いで)」のディレクターの指示に「何してんの? これ(ぐるぐる)何?」と聞き返してしまうくだりまで披露してくれた。

 最後の仕上げに大皿に盛られた7つの香草を一つずつ説明し、順番に加えて行く段取りだのが、

「ニラ、パセリ、パクチー……ニ……ニンンク……ないじゃない?」

「ニンニクもう入ってます」

「……まあいいや、みんな入れちゃう」

 と、刻んだ葉っぱの識別がつかなくなり、めんどくさくなったのか、残りの説明を放棄して全部適当にぶっこむ先生。

「セロリの葉っぱ、クレソン、春菊も入りましたー」と、こうなることを見透かしてたかのごとく、平然とフォローを入れる佐藤アナ。中谷文彦アナから引き継いでの前回からの登板だが、お見事。

 まず第一ブロックの4品が完成して、ダイニングセットに移動して全員で試食。時間が押してるからなのか、全員が早食いでかき込む。まるで工事現場だ。

 慌ただしいのは出演者だけでなく、セットの裏から「ドンガラガッシャーーン」(イメージ)という音まで飛び出してくる。どうやら片付けをするスタッフが皿をひっくり返したらしい。もう大騒ぎだ。自分は散々大きな音で吉田を驚かしてきたのに、異様にキョロキョロして動揺を隠せないレミ先生。クッキングハイでない時は、知覚が落ち着いているらしい。

■「おったて鯛」とは?

 中盤をなんとかこなしいよいよ後半にさしかかるころ、佐藤アナが「ここからは、これぞ平野レミ! というアイデアレシピ、そして、美味しく楽しいレシピを中心にご紹介していきたい」と紹介。期待が高まる。

 なんと言っても今回の目玉となったのが、「おったて鯛(たい)」。

 その名を聞き、調理前に、すでにざわざわしだす出演者たち。

 実は20年前の『今日の料理』で、すでに「おったてて」いるレシピらしいのだが、「そのころの立ち方よりも、さらにバージョンアップしたバージョンで今回は立たせる」という佐藤アナからの不安な予告が。

「ギンギンに?」(中山)というギリギリアウトなコメントも飛び出すハイなスタジオ。正月のNHKの料理番組なのに。

 鯛をオーブンに入れる前に塩を振るのを忘れてることを福くんに指摘され、「坊や、ありがとーーーう」「すごい坊や、最高!」と大喜びするレミ先生。「みんなで頑張る」と照れる福くん。

 そんなことはおかまいなしに「さて!」と、鯛に串を刺すためにしていた軍手を思いっきり調理台に叩きつけ、次の作業に移るレミ先生。景気づけなのかわかならいが、まるで1800年代の決闘だ。

 さらに「にんじんまるごと蒸し」という豪快な料理では、鍋に塩とオリーブオイル、さらに丸のままの巨大な人参2本を入れ「3~40分このまま」と得意げに放置しようとするも、火を点けるのを忘れており、またしても福くんがこっそり着火して事なきを得る。

 それを佐藤アナに指摘されると、平野は「ああ~、いーこいーこいーこいーこ!」と、危うくただの油まみれの生の人参になる窮地を救った恩人に対し、ただ頭を撫でてあげるという子ども騙しな感謝で乗り切る。

「今日のキーワードは『みんなでがんばる』です」と冴える佐藤アナ。

「寒気断(さむけダン)」という参鶏湯を手軽にした料理に取りかかるも、ここでも鶏肉を鍋に入れる際、「ガゴン!!」と皿を鍋肌に激突させる。「わーお」と、いまだ慣れない吉田に、「音も料理の一つ」と、合ってるかわからないフォローをする佐藤アナ。

 ゴボウやネギ、なつめ、酒、ごま油など全ての材料を投入。しかし、またしても福くんが「火が入ってない」と着火する。「寒気を断する」料理だと言っていたのに、彼がいなかったらと思うとゾッとする。ちなみに福くんの趣味は料理。照れ隠しなのか、「全部発見ね、全部発見ね」という謎の褒め言葉で乗り切るレミ先生。

 そんな恩人に、ダイナミックな鍋さばきで熱した油をかけてしまうも気づかないという「恩を仇で返す」っぷりも披露していたレミ先生だが、佐藤アナは「自分の身は自分で守る」と好フォロー。この日、輝いていた。

 

■いよいよ「おっ立つ」

 いよいよ鯛がオーブンで焼き上がり、飾り付けで「おっ立てる」ことに。鯛をぶっとい串に尾っぽから突き刺し、大根の土台に天を仰ぐように上を向かせ突き立てる。1997年の「元祖おったて鯛」では腹を下にして泳ぐように背を立たせるだけだったが、20年の時を経て今回は直立に。

 その磔にされたキリストのような鯛に、頭からトロトロの餡をブチかける。吉田が笑っている。仕方ない、これは笑う。澤部佑の「お墓まいりじゃないんだから」というコメントが、まさにだから。

 トドメに、鯛の口に松の葉や梅の花などをぶっ刺すレミ先生。よかれとやった生け花が、より屍体感を際立たせる。まさに死鯛。

 レミ先生は「結婚式で使ってほしい」と切望していたが、料理というより見せしめのような死鯛を採用する式場はおそらく少ないだろう。

 この料理のコツは、身が冷めてから立たせること。熱いままでは身が崩れてしまうらしく、レミ先生は「あったかいと立ちませんね、フニャフニャだからね」と、どこか危なっかしいコメントだった気がするのだが、考えすぎだろうか。

 食べる前にも、この鯛に向かって願いごとをしようと提唱していたが、

「結婚したいとか、合格したいとか、健康でいたいとか、見たいとか、やりたいとか、触りたいとか……」

 ここまで言って、周りから止められていた。欲求不満なのか心配だ。

 食べるときは立たせたまま、身をむしり落とすドネルケバブスタイル。アンコウの吊るし切りにも見えるが、とにかく奇抜だ。

 さらに、最後に「華麗の滝 in かぼちゃ」という料理が出てきたのだが、これもすごい。くり抜いたかぼちゃの中にキーマカレールーがなみなみと入っており、一人ずつ側面に刺さった野菜(ブロッコリーやアスパラやカリフラワー)を抜いていき、唯一貫通している穴から下に敷かれたライスに誰がルーを注ぐかを楽しむという、まさかの「黒ひげ危機一髪」スタイル。各地のダムで人気の「ダムカレー」をヒントに作ったのだろうか、面目躍如な創作料理でラストを締めくくった。

 途中、先生は「これも塩麹が入ってるから体にいいしさー」と焼き鮭の乗った皿を菜箸で「チンチン」と叩き、周りにたしなめられるやいなや「みんな真似しちゃダメよーーー!」と笑顔で絶叫。前代未聞の「真似をしてはいけない料理番組」ということが発覚したが、もはや真似しようにも真似できない領域ではないだろうか。

 今回も非常に評判となった『早わざレシピ』。おそらく夏ぐらいにあるであろう、第6弾にも期待したい。
(文=柿田太郎)


Source: 日刊サイゾー

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